パイロン・スラロームは乗車姿勢(7つのポイント)ライディングフォーム(アウト、イン、ウィズ)ハンドル、アクセル、ブレーキの使い方、目線、ライン取り、全ての要素が詰まっています。
リズミカルにパイロンスラロームが出来るようになれば、バイクを自分の手足のように自由自在に扱えるようになります。
僕は長年バイクのライディングを教えてきましたが、『0の字』『8の字』『直線パイロンスラローム』を必ずやってます。それくらい大切なバイクの基本なんです!
今回はそのコツを伝授するので、楽しくパイロンスラロームの練習をしてみましょう!
正式名称は『連続進路転換』といいます。直線状に置かれたパイロンを、左右に縫うように走行します。目線、バイクのアクセルのオンオフ、ブレーキ、上体の力を抜きリラックスして走るための乗車姿勢、バイクを安定させるために必要なニーグリップ、ライディングフォームの確認、無理無駄のないライン取り、重心移動、適正なバンク角の基本を頭と身体に覚え込ませるためにとても重要な課題、検定項目です。
検定で減点されないためには、ある程度の速さが求められます。
幅2m、長さ27m のコースに、直線状に4.5m間隔で5本の大パイロンを並べたコースをイラストにしました。
パイロンのサイズは、大は高さ70cm、底面は1辺37cm。小は、高さ45cm、底面は1辺27cmです。(教習所によって多少の誤差はあるようです)
コース入口と出口にはパイロンがゲート状に左右2m幅で設置されています。
大きなパイロンの横には左右交互に2本ずつ小さいパイロンが置かれています。これは障害物つまり「小パイロンが置いてある方はコースではないので通ってはいけません」という意味で置かれています。
前車輪の接地面部の一部がコース入口のパイロンにさしかかってから出口のパイロンにさしかかるまでの所要時間の基準タイムが決まっています。この基準をクリアすることでスラロームを合格することができます。
中型バイクであれば8秒、大型バイクであれば7秒。スラロームでなかなかクリアできない!という人はこれから上げる8つのうちどれかが原因になっていることがあります。一つずつ見ていきましょう。
パイロン接触の原因は、視線が近くなり過ぎていることです。目線、視線は「先へ」「遠くへ」向けるのが鉄則です!
まずは確実に通過することを最優先しましょう。大丈夫、衝突、転倒しなければ減点だけで済みますから。
肩の力を抜きます。リラックスしましょう!どれだけリラックスしていても頭の位置が左右にぶれないように体の軸だけは維持しておいてくださいね。
膝が開いていませんか?そんな時はニーグリップ。膝でバイクの車体を感じましょう。バイクを傾ける時も膝でタンクを押し込み、内側のステップを踏み込めば小回りも楽になります。
バイクをバンクさせれば小回りが効きます。そのためには膝のちょっとした動きとステップの踏み替えでコントロールすることができます。
スラロームがうまくいかない人は、スタート地点から走るコースが間違っていることが多々あります。最初のパイロンを回避するためにはどこの位置を走るのが最もラクでしょうか?
スラロームもリヤ・ブレーキが肝なんです!リアブレーキを使ってバイクの動きをコントロールしてみましょう。
エンストしそうになったり速度が出過ぎたときリヤ・ブレーキと半クラを使ってコントロールしてみましょう。エンストや暴走せずに減点なしで通過することができます。
ローでなくセカンド。その方がギクシャクせずにスムーズに走ることができます。ちなみに白バイ隊員はパイロンスラロームはローで走るのが当たり前になっているのですが、白バイ隊員のように速さを求めなければ断然2速の方がスムーズです。
スタートして一本目のパイロンに直線的に向かって行ってませんか?直線的に走るとパイロンに近付きすぎて接触してしまったり、1本目をクリアできても2本目以降のパイロンに近付いてしまい、パイロンを大回りすることになってしまいます。
そうするいいタイミングでアクセルも開けられず、距離も長く走ることになってしまい、結果的にタイムオーバーになってしまいます。
そこで、まずスタートしたらハンドルを切ってパイロンとの間隔をしっかり空けておきましょう。そしてサッと身体の重心を入れ替えてバイクの向きを変えます。この時の目線・顔・胸は次のパイロンへ向けておいてください。最初の1本目のパイロンを正しいライン取りでクリアしておけば、最後までパイロンに接触することなく、安全にしかも速く走ることが出来ます。
パイロン手前で十分に間隔が空いていれば接触しませんし、安心してパイロンを回避することができます。
パイロンを回避したら、次のパイロンへ向かいます。この時、目線だけでなく顔も上半身も、行きたい方向に向ければバイクは行きたい方向に勝手に走っていってくれます。
下を向いていると先が見えないばかりでなく路面の流れで体感速度が上がってしまって恐怖心が先に立ってしまいます。とにかく目線、顔、上半身は行きたい方向に向けておきましょう。
目線・顔・胸を行きたい方向に向けるためには上半身の力を抜いて、リラックスすることが大切です。
上半身の力を抜いた分、しっかりニーグリップして車体を安定させましょう。
バイクをもう少しバンクさせたいときは、タンクを外側から押し込むようにすれば傾きます。これは重心移動のひとつでもあります。
曲がりたい方向に目線・顔、胸を向けるとともに、外側の膝をタンクに押し込み、内側のステップに荷重(入力)します。これで重心が移動してバイクが思う方向に進む方になります。
何だが難しそうですが、やってみると意外と「おっ⁉︎簡単じゃん!」という感じで出来ますから大丈夫です!
重心を移動させる時にも頭の位置は動きません。イメージ的には身体とバイクはバンクして重心移動していても、頭の位置はブレず真っ直ぐにしておきます。こうすることによって周囲の情報を正確に把握することができます。頭が傾いてしまうと見えるものも見えなくなり、ライン取りを間違ったりバランスも崩してしまいます。
楽々パイロンをクリアするためには、まずパイロンに近付き過ぎないこと。大きく入って小さく抜けましょう。
スタートから一本目のパイロンを大きく入って小さく抜けるためには目線・顔、胸の向きでバイクをコントロールして正しくライン取りで走りましょう。最初さえキマればあとのパイロンも楽々クリアすることができます。
アクセルはブォーンと全閉にしません。ブンッと軽く回す程度です。
ふわっと回してサッとバイクが進んだらパイロン手前でリア・ブレーキ。停止するためのブレーキではなく、曲がるきっかけを作るためのブレーキです。だから引き摺る程度で大丈夫。もし速度が出過ぎた場合には、しっかり減速しましょう。スピードとブレーキのバランスをしっかりとることがカギです。
半クラはスラローム走行に慣れてくれば必要ありません。ましてギアが2速でしたらなおさら。方向転換は重心移動で、あとはアクセルとリアブレーキだけで十分にバイクをコントロールすることができます。
スピードが落ち過ぎた場合など、バイクを立て直す際に半クラで調整することはあっても原則半クラなしでスラロームはクリアできます。
セルフステアとはハンドルを自分の意思で切らなくても、車体を傾けた(パンク)ときに自然とハンドルが切れていく現象です。
このセルフステアを利用すると無理なアクセルやブレーキ操作をすることなく安全にバイクの向きを変えることが出来るのです。
バイクの向きが変わったらハンドルを戻してアクセルを開ければ、バイクは起きてアクセルを開けても安全に加速するのです。
大型自動二輪が普通自動二輪と違うのは、まず重さ、シート高、そしてパワーです。大型バイクのスラロームはこれらを考慮した操作になってきます。詳しく見ていきましょう!
大型バイクはデカいので、その分重いです。重い分動きが鈍くなるので「身体先行」といって早めに体重移動してバイクの向きを変えるのが大型バイクをコントロールするコツです。
思いバイクを扱うには、早め早めに目線、顔、胸で舵を切り、バイクを行きたい方向に向ける必要があるのです。
大型バイクはタンクもデカいし、シート高も高く、シート幅も広く中型バイクに比べると乗りづらくなります。小柄な女性が大型バイクで苦労する最初のポイントでもあります。
こうした大きなバイクを操るには早め、かつ大げさなくらいに体重移動するとバイクはいうことを聞いてくれます。
これは低速バランス課題や停止する際にもいえることです。特に足付きに不安がある方は早めに体勢を入れ替える、着座位置をずらして足つき性を良くする、リヤ・ブレーキを完全に停止するまで使うなどすればバイクを安定させることができるようになります。
パワーがあるということは乱暴にアクセルを回すと大暴れします。だからこそより丁寧なアクセルワークやクラッチ操作が求められます。優しく・丁寧、慎重なアクセル・クラッチ・ブレーキの操作を心がけてみてください。
以下の場合も「通過不能」とみなされ検定中止になります。
このように原点させる仕組みです。
パイロンスラロームは基準タイムはありますが多少遅くても減点で済みます。無理をしてパイロンにぶつけたり走行不能になって検定中止になるより、慎重に5本のパイロンを接触させずに通過することから初めて、徐々に体の動きやバイクを傾けることに慣れて行きましょう。
目線、顔、上体の向き、アクセルやリヤ・ブレーキの使い方も低速で自分でひとつひとつ確認しながら練習すれば、段々と上手くなっている実感が湧いてきます。最初から上手く出来る人なんか誰もいません。スラローム走行を制することができれば、バイクを自在に操れるようになります。ぜひ頑張ってください!