サイドバッグを心からほしいと思い始めるのは、遠出をしたいと思いはじめることからでしょうか。
最初は背中にリュックを背負って走っていても少々我慢できるか、という具合に思っているのですが、それはショートツーリングまで。
ロングで走るようになると段々とリュックが苦痛になるものです。
そもそもショートコースであっても、何かを背負って走るというのはちょっとしたストレスになるし、できることなら何も背負わず開放的に走れるのが理想であることには間違いありません。
筆者もいろいろなバイクで、いろいろと試してきたのですがバイク旅で最も気をつけているのは『体力バランス』です。
なにしろ、二輪という不安定な乗り物に命懸けで走っているわけですから集中力をとぎらせるわけにはいきません。
意味は同じです。違いがあるとしたら、語句の歴史です。
サドルバッグは馬具として、馬に取り付けたバッグを指していました。
現代でもバイクや自転車のバッグがサドルバッグとして呼ばれています。アメリカンやクラシック向け製品にはサドルバッグという製品名が与えられる傾向にあるようです。
サイドバッグは、主にバイクの横に取り付けるバッグの呼称として馴染み深いです。
サイドバッグ選びとして、最初に求めておきたいのが防水性です。バイクライフを長く送れば送るほど雨はわりと日常的になります。
体が濡れるのはカッパを着て防ぐ、と同じように荷物が濡れるのは防水性のバッグで防いでおきましょう。
防水性にこだわらないにしても、中に入れる荷物をビニール袋にいれるなどして防水対策はしておくにこしたことはありません。
いざ選ぶとなると、いろんな選択肢があって困ります。見た目はOKでも、実際に使って見ないとわからなし、そもそも自分のバイクに似合うのか疑問です。
そこで、今回はバイクに乗り始めた方で、自分のバイクにはどんなものが似合うのかを一緒に見ていきたいと思います。
あなたが乗っているバイクのジャンルは何でしょうか?アメリカン、ネイキッド、レプリカ、それともアドベンチャーでしょうか?
それぞれに似合う、というよりも世界観を統一してくれているアイテムがいくつかあるのでちょっと見てみましょう。
(画像:DEGNER レザーサドルバッグ SB-60IN )
(画像:DEGNER レザーサドルバッグ SB-46-DB)
アメリカンやクラシックなタイプのバイクにはレザーバッグが無条件に似合います。
ただ、レザーバッグにこだわりたい場合にはやや値が張るし、積載量も豊富に欲しいとなれば値段は倍になります。
レザーにこだわりがなければ合皮レザーで価格を抑えるのもいいかもしれません。
でも、あと数万円がんばれば本革製品を買えると思うと、やはり本革の味わいをいずれ楽しみたくなるのは時間の問題かもしれません。
(画像:DEGNER アジャスターナイロンサドルバッグ NB-42)
合皮レザーのいいところというと、レザーに見えるのにレザー製品よりも遥かに予算を抑えられるという点。それが故に少々傷がいったりカビが生えたときにもショック度合いが少ない、かもしれません。
弱点としては、本革のような自然なエイジング(経年)を楽しめないという点。傷むときには、樹脂製品だけに割れるような感じで崩れていきます。
アドベンチャーバイクにはパニアケースが相性良い、というよりも他のサイドバッグがなかなか似合いません。
とりわけBMW GS乗りにはお馴染みの形になっているのがこうしたケースです。
(画像:GIVI TREKKER OUTBACK OBKN37 APACK2 98492 )
このGIVIのようなアルミケースは価格が高いのが難点です。ただハードなオフロード走行を想定した作りは頑丈で安心感もあります。
転倒時に破損させたときのショック度合いが、製品金額に比例して大きくなりますが、そこは割り切る力でもって諦めるしかありません。
アルミケース以外にも HEPCO&BECKER (ヘプコ&ベッカー)というメーカーからはソフトケースタイプが出ていて、筆者はこれを使用していた経験がありますが、ハードケースの部類だと正直思っています。
(画像:HEPCO&BECKER ロイスター ソフトバッグ 左右セット 640620-0001)
YAMAHA MT09 TRACER などのようなオンロードよりのアドベンチャーバイクにもよく似合います。
軽量化と空気抵抗を抑えて作られているレプリカバイクにそもそもサイドバッグは必要なんだろうか?
結論から、やっぱり欲しくなりました。Kawasaki ZX9RやZX10Rに乗ってわかったのはレプリカだろうが何だろうが走っているのはサーキットではなく公道であって、目的は勝つことではなく楽しい旅をすることなのですから。
合羽も入れておきたいし、お土産も持って帰りたい。これはどんなバイクに乗っていても同じです。
(画像:TANAX カービングシェルケース)
このタイプのサイドバッグを使用していました。後部に向けて細くなりスポーティな形状になっているためレプリカバイクなどスポーツバイクとの親和性が高いデザインになっています。
ただ、250ccクラスだとややバッグが大きく感じてしまうこともあるかもしれません。
大は小をかねるのですが、サイズがチグハグにならないようにあらかじめサイズを測っておくと購入時にも安心できます。
実は、ネイキッドバイクに似合うサイドバッグ選びがなかなかと難しくて、長年悩み続けてきました。
アメリカン、クラシック、アドベンチャー、レプリカ。それぞれサイドバッグを選んできた経験があるものの、ネイキッドバイク(今回はYAMAHA MT07)に似合う『これ』というものを見つけられずにいました。
ハードケースにすると美観が損なわれてしまうし、タンデムシートに積載できるコンパクトなものもありますが、やや不恰好な上にそれほど積載ができません。
既製品のレザーバッグもまるでしっくりきませんでした。
かと言って量販店で無難そうな商品を探すとカタチまではいいとして不思議なロゴマークが付いていたり、どうしても納得がいきません。
だからと言って、美観を諦めてまでサイドバッグをつけるのもなんか違います。
メーカーの汎用性を持たせるための努力には敬意をもっていますが、ユーザーはもっとワガママになってメーカーを突き上げるべきだとも日々感じています。
でも、いつまでもリュックで移動し続けるのは辛いです。長距離を何しろ快適に走りたいのですから。
そうやって、たどり着いたのがこのサイドバッグです。
(画像:DOPPELGANGER ターポリンサイドバッグ 40L)
でも、実は使わないまま2年が過ぎてしまっていました。
写真の通り、ガイド通りにタンデムシートに設置したところ、スリムにカスタムされた尻周りのウィンカーに干渉してしましました。
(画像:ACTIVE フェンダレスキット ナンバー灯 )
ウィンカーが折れ曲がり、このまま使うとボキっと逝ってしまうだろうなと簡単に推測できます。
そこで、小さなウィンカーに変えてみることにしました。
そうすると、今度はウィンカーが小さすぎてバッグが完全に隠す状態になってしまい後続車にシグナルを届けることができなくなりました。
かと言って、謎に伸びる純正フェンダーを削ぎ落としたのにサイドバックのために戻したくはありません。
そしてもう一つネックになっていたのはアルカンターラ(風)のシート。
アルカンターラシートは自分で張り替えたもので、マックスガンタッカで自分の握力が続く限り何度も打ちつけて苦労しています。地味なカスタムの一つとして忘れられない、いい思い出になっています。
(画像:マックスガンタッカ)
ガイド通りに取り付けた時に、このアルカンターラシートの上を跨がせるようになっていました。
それにより、何がおきるかと言うとベルトの角の摩擦でシートがボロボロになるのが簡単に想像できてしまったのです。
美感と機能の両方を得ながら、かつ快適にバイクで遠出をしたいと切に願うワガママなライダーは他にいないのだろうか?
そんな孤独な想いを抱えながらも、ついに情熱により絞り出した知恵でなんとか取り付けることに成功したのは、ついさっきのことです。
筆者がいつも入れているものを参考までにリストとして挙げておきます。
しかし、今回はそれよりも何よりも1番に入れたかったアイテムがあります。
と聞かれたら即答で『折りたたみの椅子』と答えます。
こんな軽くて丈夫で、ネームバリューもあるような椅子があればいいな、とついつい夢をみてしまいます。
そんな夢を見ながら筆者が密かに気に入っているのはこの安くてちょっと重い、でもコンパクトに収まるこの椅子です。値段は上のヘリノックスのなんと1/10です。
(画像:BUNDOK ポータブルチェア)
サイドバッグを選ぶにあたり、最終的には中に何を入れるのかも重要になってきます。
突然の雨に備えて合羽を、急なパンクに備えて修理キットを、よくあるガス欠に備えて携行缶を。
で、一番使いたい用途としては旅先からのお土産を持ち帰ることです。
そして、もうさらに贅沢を味わうためには、いい景色をゆっくり楽しむための椅子があれば完璧です。
バイクに乗り始めたころは、とにかく距離を走りたい気持ちが先だってしまって景色もあまり楽しんでこなかったかもしれません。
でも、これからは最高の休憩のために走るようにしたいと考えています。
そのためにも、いい景色を見つけたら椅子を広げてゆっくたりとくつろいでいきたいのです。
あなたもいいサイドバッグを見つけたら、ぜひ素敵なアイテムや思い出をバッグに詰め込んでみてください。
きっとどんどん旅がしたくなるはずです。